- 井土まちづくりレポート第25号 2026年8月6日


仙台市は、2025(令和7)年10 月1 日より、市街化調整区域内における空き家の利活用促進と管理不全の防止を目的として、住宅の利用制限の一部緩和を開始しました。主な内容は、属人性(居住できる人の制限)の解除、飲食店等への用途変更の許可、更地への再建築を可能とする条件の整備などです。ただし、敷地分割や経過措置の期限など、なお検討中の課題も残されています。
こうした緩和措置の具体的な内容や今後のまちづくりの方針について理解を深めるため、仙台市の担当課を招いた「まちづくり説明会」を、東六郷エリアの各町内会と合同で2026 年5 月22 日(金)に開催しました。今回のレポートでは、当日の質疑応答をご紹介します。新しい制度やまちづくりへの理解を深めていただければと思います。
制度の概要・趣旨について
今回の制限緩和は、具体的に何を緩和したものですか。
回 答
市街化調整区域内にある農家住宅などの「属人性のある建築物」(使用者が制限されている建物)について、用途変更の要件を緩和しました。改正前は、建築後10年以上適正に利用され、かつ経済的困窮など「やむを得ない事情」が認められる場合に限り、属人性(使用者の制限)を解除できましたが、このハードルが非常に高く、農家住宅は対象外、飲食店への用途変更も不可でした。令和7 年10 月の改正により、①10年以上利用した場合は、経済的困窮以外にも「相続人が既に住宅を所有している」など要件を緩和、②農家住宅も20 年以上の利用で誰でも住めるよう解除可能に、③20 年以上利用した場合は一定の要件のもとで飲食店への用途変更も可能、という3 つの拡大を行いました。

市街化調整区域の住宅利用制限の緩和に関する説明は、「井土まちづくりレポート」第24 号にて詳しく紹介しています。右記コードを読み取ってご確認ください。
質問1制度の概要・趣旨について
なぜこのタイミングで緩和を行ったのですか。
回 答
東六郷地区を含む市街化調整区域では、人口減少・高齢化による地域コミュニティの維持や生活環境の悪化が課題となっています。既存の建築物を貴重な地域資源として活用し、地域コミュニティの維持や特色を生かしたまちづくりにつなげるため、運用を柔軟化する検討を進め、令和7 年10 月から緩和を開始しました。
質問2制度の概要・趣旨について
市街化調整区域をなくせばいいと思います。
回 答
市街化調整区域は、昭和45 年8 月に都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分した制度に基づくものです。仙台市の基本計画でも、機能集約型の都市構造を目指す方針は変わっておらず、区域区分(線引き)の制度自体を撤廃する考えはないとの説明がありました。
質問3適用要件・手続きについて
用途変更にあたって、新しく入ってくる人(第三者)が建て替えることはできますか。例えば東京から来た人が更地を買って住宅を建てることは可能ですか。
回 答
可能です。ただし令和7 年10 月の制度開始から5 年間という期限があり、その範囲内であれば建築できます。
質問4適用要件・手続きについて
既に住宅が建っている土地を、よその人が買って建て替えることは可能ですか。その場合も5 年の期限措置の対象になりますか。
回 答
既存の建物がある場合の建て替え(用途変更)は可能です。この場合は「更地」ではないため、5 年間の経過措置の期限は適用されません。5 年の期限が適用されるのは、現時点で更地になっている土地(経過措置)に限られます。
質問5適用要件・手続きについて
経過措置(更地への再建築)の5 年間という期限はなぜ設けられたのですか。
回 答
昭和45 年8 月に市街化調整区域の制限が新設された当時、いきなり権利を制限することになるため、5 年間の届出期間が設けられた経緯があります。これを参考に、今回も5 年間という期限を設定しました。
質問6適用要件・手続きについて
確認依頼書の提出期限と、建築着手の期限はそれぞれいつまでですか。
回 答
確認依頼書の提出期限は基準改正後3 年、令和10 年(2028 年)9 月30 日までです。その後、許可を取得して建築行為に着手する期限は、基準改正後5 年、令和12 年(2030 年)9 月30 日までとなります。
質問7適用要件・手続きについて
手続きの流れを教えてください。
回 答
まず開発調整課へ「確認依頼書」を提出し、その土地が経過措置を利用できる土地かどうかの確認を受けます。利用できることが確認されると「確認書」が交付されるので、それを添えて通常の開発許可(建築)の申請を行う、という流れになります。
質問8建築できるもの・できないものについて
敷地を分割して、複数棟の住宅を建てることはできますか。
回 答
できません。宅地を分割すると下水・水道などのライフラインの処理能力を超えるなど新たな問題が生じる可能性があり、市街化を抑制するという調整区域の基本的な考え方から、従前に建っていた住宅の棟数を超えない範囲としています。
質問9建築できるもの・できないものについて
一人のオーナーが300 坪の土地に4 棟の小規模住宅を建てて貸し家にすることはできますか。
回 答
できません。属人性解除によって誰かが住めるようになるのは、あくまで「1 棟」が基本であり、複数棟を貸し家として建てることは認められません。
質問10建築できるもの・できないものについて
集合住宅(アパート等)を建てることはできますか。
回 答
できません。事務所は通勤者・来客の発生、交通量増加に加え、関連企業や飲食店・倉庫等が周辺に立地する可能性があるなど、市街化を誘発しやすい用途とされており、東六郷地区に限らず仙台市内の市街化調整区域全域で認められていません。
質問11建築できるもの・できないものについて
事務所を建てることはできますか。
回 答
できません。事務所は通勤者・来客の発生、交通量増加に加え、関連企業や飲食店・倉庫等が周辺に立地する可能性があるなど、市街化を誘発しやすい用途とされており、東六郷地区に限らず仙台市内の市街化調整区域全域で認められていません。
質問12建築できるもの・できないものについて
再建築が可能な用途は何ですか。
回 答
住宅または飲食店のみです。事務所その他の用途は認められません。
質問13建築できるもの・できないものについて
基礎がない簡易な建物(倉庫・資材置き場など)であれば建ててもよいのですか。
回 答
基礎の有無にかかわらず、柱と屋根があれば「建築物」に該当します。基礎がなければ問題ないというのは誤解であり、倉庫であっても建築物として規制の対象になります。
質問14建築できるもの・できないものについて
市街化調整区域にて、老人ホームなどの福祉施設を建てる場合の条件は何ですか。
回 答
周辺に50 戸以上の住宅が存在していること(おおむね半径500m 程度を目安)などの要件があり、施設の種類によって細かく条件が分かれています。具体的な計画があれば個別にご相談ください。
質問15建築できるもの・できないものについて
集落・地域の合意があれば、敷地の分割や事務所建築を可能にする方法はありますか。
回 答
「地区計画」という制度を活用すれば、地域独自に建築できるものを定めることが可能です。ただし行政が一方的に進めるものではなく、住民全員の合意のもとで都市計画提案を行う必要があり、事業者の確保なども住民側の負担になるため、ハードルは高いとの説明でした。
質問16個別ケース(農業従事者・相続・法人など)について
次男・三男のために、農業従事者として敷地内に分けて住宅を建てることは可能ですか。
回 答
次男・三男が農業従事者として住宅を建てる場合は、従来からある「農家住宅」の制度(今回の緩和とは別の既存制度)を使えば建築可能です。これは敷地の分割ではなく、農業従事者向けの住宅として扱われます。
質問17個別ケース(農業従事者・相続・法人など)について
農業法人の社員になった場合、その土地に住宅を建てることはできますか。
回 答
法人の社員として農業に従事する場合も、従来の農家住宅の制度を使って建築することは可能です。ただしこれは今回の緩和措置ではなく、既存の「農業従事者向け住宅」の制度を利用する形になります。
質問18個別ケース(農業従事者・相続・法人など)について
土地を農業組合などに貸していて、本人は農業に従事していない場合、その土地に住宅を建てることはできますか(地主の子が相続した場合など)。
回 答
農家住宅として建てられるかどうかは、農業従事の実態や、市街化調整区域の線引き(昭和45 年8 月)以前からの居住歴など、個別の事情によって判断が分かれます。一律の回答は難しく、開発調整課への個別相談が必要です。
質問19個別ケース(農業従事者・相続・法人など)について
新規就農者が仙台市の支援を受けて農家住宅を取得した後、農業をやめてしまった場合も住み続けられますか。
回 答
今回の緩和制度(属人性解除)を使って入居すれば、農業がうまくいかなくても、うまくいった場合でも、いずれにせよ住み続けることが可能です。新規就農者にはこの新制度の活用が確実な選択肢になります。
質問20
大規模敷地が抱える分割規制と市街化抑制のジレンマ
敷地が300〜600 坪と大きいため分割できず買い手が見つからない実態について、住民から「朽ちるのを待てというのか」との声が上がりました。市は、分割を認めると市街化が進む懸念があり、国としても現状では認められる段階にないとし、まずは属人性の解除を第一歩とし、状況を見ながら検討したいと回答しました。また、農業集落排水の処理能力に余裕がある(現状10 戸程度の利用)にもかかわらず分割できない理由を問う声には明確な定量的根拠は示されず、市街化抑制の観点から従前戸数を超えない範囲という説明が繰り返されました。震災で人口が大幅減少した実態(井土地区はピーク時の1割程度)を踏まえ、震災前の戸数までは今後の技術的工夫により緩和を許容する可能性があるとの回答も示されました。
期限付き制度と利用機会のミスマッチが生む活用停滞の課題
利用したい人が現れた時点で随時認めればよいのではないか、また5 年では土地の買い手や利用者を探す時間として短すぎるのではないかとの意見が出されました。市は、国の技術的助言や過去の都市計画法改正時の届出期間(5 年)を参考に期限を設定したものであり、制度開始直後で活用実績が少なく判断材料が乏しいため、まずは状況を見ながら延長の必要性を検討していくと回答しました。実際に家を建てた実績はまだないものの、確認依頼書の申請は市内全体で4 件程度寄せられているとのことです。なお、期限内に利用希望者とのマッチングが整わなければ、現行制度では経過措置の対象から外れる可能性があり、今後の運用・期限の見直しは検討課題の一つとなりそうです。
具体的方針が策定されていない東六郷エリアの将来像
東六郷エリア独自の地域づくり方針について問われた市は、平成28 年3 月に「東六郷コミュニティ市民委員会」が策定したまちづくり計画はあるものの、これは廃校(東六郷小学校跡地)の利活用が主な目的であり、エリア全体を対象とした最新の方針は現時点でないと回答しました。地区ごとの具体的な方針があれば制度運用も検討しやすいとの指摘には、今後考えていく必要があるテーマと認識を示しました。また、都会と田舎の近接性をPR し定住人口を呼び込む取り組みの強化を求める声には、住民意見として今後の検討に活かしたいとしたものの、具体策は示されませんでした。空き家バンクのようなマッチング・プロモーションの仕組みについても、市として具体的な支援策はまだ検討していないとの回答でした。

市街化調整区域における住宅利用の緩和や東六郷エリアのまちづくり方針については、今後も仙台市担当課との対話を継続してまいります。
引き続きご案内いたしますので、ぜひご参加ください。

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